1型糖尿病患児の療養および学校との連携についての研修会の報告schoolhouse_spring.jpg

 毎年恒例の「2023年度1型糖尿病患児の療養および学校との連携についての研修会」が、7月26日(水)に昨年と同様Webにて開催されました。今年で22回目となります。学校関連の方々総勢128回線の接続があり、大変有意義な会となりました。1型糖尿病の事をもっと理解して患児の学校生活の助けになろうとする教職員の方々の姿勢には我々は本当に頭が下がります。お忙しい中ご参加いただきありがとうございました。
2023FY-workshop-handouts.png はじめに、当会特別会員の杢野武彦先生(杢野医院 院長)から、1型糖尿病の基礎知識が理解できる「小児糖尿病理解のために」のご説明を頂きました。杢野先生には、毎年この教職員向けに1型糖尿病の内容や特徴をイラストを使って非常に分かりやすくご説明頂いています。更に2001年の初回から23年間もこの研修会で講師をして頂いています。そして1型糖尿病は生活習慣病ではないことや高血糖よりも低血糖の方が注意が必要であることや、子供にとって安心な環境を作るためには、保護者と学校のコミュニケーションが大切で、注射や血糖測定を行う場所などは患者の考えを尊重することも重要あると言われました。
 つぎに、当会の鷲見副会長から「1型糖尿病患者の現況・生活等における諸問題」は患児たちの生の声を取り上げた複雑な心理状態、それに対する保護者の対応、就職活動等についての説明がありました。患児の心の中はこういった機会でないとなかなか知りえる事が出来ません。患児たちが普段どんな気持ちで生活しているのかを「知る」ということが我々の始まりではないでしょうか。
 患者本人の講演では、現在、高校生のお子様をお持ちの当会役員より発症から現在までの様々な体験談がありました。1型糖尿病生活を良好にするには患児だけでなく家族の対応や学校の対応が非常に重要であることが先生方にも良く伝わったと思います。
 ご聴講くださいました学校教員の皆様および保健関係者様に心より御礼申し上げます。

★先生方の感想(一部)★ 
●大変、分かりやすいお話でした。本校でも、特に低血糖には十分注意し、何かあった時には、すぐに保護者に連絡を入れるようにしています。ありがとうございました。

●来年度入学する1年生に1型糖尿病患児がいます。まだ、どのような子か分からない状態ですが、年度初めに本人や保護者の考えを聞き、対応を検討する必要があることが分かりました。とても具体的で分かりやすいお話でした。

●生徒がいつも何をしているのか、この器具は何なのかがよく分かってよかった。教師はどんな支援をしたら良いかがわかり、手を出しすぎないことや、低血糖にならないように時には声をかけるなど、夏休み明けからできることがはっきりしてよかった。

●実際に疾患を持っている方の話を聞いて、1型糖尿病は、血糖コントロールを行えば健常者と変わりない生活ができるということをしっかりと意識していきたいと感じた。そのうえで低血糖時の対応を正しく行えるように、保健所としても支援をしていきたいと感じた。

●糖尿病の基本的なことから、糖尿病に関する誤解など知ることができました。知識がないと低血糖を恐れていろんなことを制限しようしてしまいます。それではダメなんだなと感じました。

●明るいお母様の対応が素晴らしいと思いました。きっと、大変なことや心配な事がたくさんあったと思いますが、お子さまや主治医、学校などとその都度よく話し合いながら進めてこられたので、元気に高校生活を送る今があるのですね。学校では、子供の命を守る事を最優先に、サポートしていきたいと思います。
≪編集部より≫
 コロナで始まったWeb開催ですが、コロナ明け後も教職員向け研修会はWeb開催です。お忙しい教職員の方々のご都合や移動の負担、1回線で複数の方が参加できること等を考えるとWeb開催の方が沢山の教職員の方に1型糖尿病の理解が広がるように思います。1型糖尿病は他の病気と比べて誤解の多い病気なのでこの研修会が一人でも多くの教職員の方に参加してもらえるように今後も様々な工夫等を考えていきたいと思います。ありがとうございました。

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