1型糖尿病勉強会「治療の基本と日常生活のポイント」の報告

日時 10月6日(日) 13:30 ~ 15:30,会場 イーブルなごや
講師 木村那智先生(ソレイユ千種クリニック 院長)

全景 参加者数は、6家族19名でした。はじめに夢と展望を持つと治療への取り組み状況が良くなる傾向があるので、1型を理由に夢をあきらめることはなく、ぜひ持ってほしいとお話しされました。また会の行事やサマーキャンプなどで普通だと出会えない仲間に出会うことは、心や気持ちの持ち方をよくすることにつながるので、仲間との交流を治療の一部と捉えて、行事に参加するといいと言われました。
 また青年期の患者は悩みに共通するところが多いので、「1型青春サミット」(参加対象:1型糖尿病とともに生きるティーンエイジャー、その先輩たち、保護者、小児・思春期1型糖尿病に熱い熱い思いのある医療者)に参加してみるといいと勧められました。同じく、保健所の小児慢性に対する取組みも最近、かなり充実してきているので、つぼみ通信でも案内している保健所主催の相談事業などへの参加も推奨されました。また最近出版された「さらにかんたん! カーボカウント」は読みやすく書かれているそうです。
 1型糖尿病ファインチューニングプログラムを紹介され(下記リスト)、これは今一度確認したいと思わせるものでした。

・受入れ(本人も親も)の確認と目標設定
・基本手技と知識の再確認(手技の指導が親へ行われただけで、子供本人には指導が直接行われていないこともあるため)
・低血糖に対する正しい対処
・基礎インスリンの正しい調整(血糖値が横ばいになるように)
・ボーラス・インスリンの使いこなし(カーボカウントや補正打ちのスキル向上)
・ペンかポンプか、またSAPか(最新治療が最良の選択とは限らないので本人に合ったものを選ぶ)
・仲間づくり、ネットワークの大切さ(自立した1型ライフの構築)

 今年の6月に出た国際合同声明TIR(Time in Range)についてお話しされました。これはHbA1C(ヘモグロビンA1C)だけでなく、重要な指標として、

・血糖値が範囲70 ~ 180 mg/dLに収まっている時間を一日の70%以上にする。
・食前食後だけに注目せず、180 mg/dLを超える時間を短くするように治療する。

といったもので、患者が管理、実行しやすいと思われるものです。
 先生は講演後の質問にも丁寧にご対応され、貴重な勉強会になりました。末筆ながら心より感謝申し上げます。

© 2005 つぼみの会 愛知・岐阜