Home 過去の行事 行事一覧 2020年度行事 勉強会(堀尾拓之先生)

堀尾拓之先生のカーボカウント勉強会の報告

 15件接続がありました。家族で参加している場合もありますので、約40名の方が聞いておられたと思います。講師の堀尾先生は、1998年に佐賀県のサマーキャンプに参加して以来、スタッフとして継続的に参加しておられ、子供たちの栄養やカーボカウントの指導など行っておられます。
 カーボカウント法は、2002年に大阪市立大のサマーキャンプで初めて使用されたとのことでした。1型糖尿病は血糖値が高いこと抑えるのが治療の目的のため、栄養交換表を用いて患者を指導する方法の誤りについて、同大学の川村先生が中心となって、学会の場などでそれに代わるカーボカウント法の良さ、正しさについて理解してもらい普及してきたと言われました。
 はじめに、1日3食の食事内容と量は大切なので、主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物をバランスよく取り、エネルギーのもととなる炭水化物、脂質やたんぱく質、またビタミン、ミネラルといった栄養について正しく知って、正しい食事をしましょうとお話されました。 カーボカウントは、基礎インスリンが合っていることが大前提になります。血糖値を上昇させるのは、ほとんど「炭水化物」であると考えてよいので、食事中の炭水化物量の多さでインスリン量を調整する方法がカーボカウント法で、食物の「エネルギーが高い」は、「血糖値が上がりやすい」ではなく、「糖質が高い」が「血糖値が上がりやすい」ことを強調されました。
炭水化物は、食物繊維と糖質(糖類は糖質に含まれる)からなり、食物繊維のカーボは0、食品表示が糖質ゼロだと0カーボ、人工甘味料も0カーボですが、糖類ゼロ、シュガーレス、無糖の表示があってもカーボカウントが必要な場合があるので、食品表示をよく見て、また食品表示の炭水化物に注目するとき、何グラム当たりの量なのかにも注意しましょうとアドバイスされました。
 基本カーボカウントの流れは、「食事のカーボを数える」→「食事分のインスリン量を計算」→「補正インスリンの計算(食前の血糖値が目標血糖値より高ければ追加補正、逆に低ければ減らして補正)」→「食事分のインスリン+補正インスリン(補正はマイナスも場合もある)を打つ」になります。正確にカーボを見積もることはすぐには難しいので、毎日微調整を繰り返しながら経験を積むことも大切と言われました。
 普通、炭水化物10 gを1カーボに換算していますが、中には15 gと書いてある本もあるので注意してほしいとのことでした。カーボカウントは、主食のカーボ量で考えることをから始め、炊き立てと冷めたご飯では、見た目の量は同じでも重さは違うので秤をちゃんと使いましょうと言われました。具体的に食物の例を挙げて、カーボ量の目安を説明されました。食パン20 gで1カーボ、菓子パンなどはメロンパン75 gで6カーボ、麺類では1玉で4~5カーボ、スープを含めると5~6カーボになるそうです。おかずでカウントするものは、糖質が多いものになります。野菜では、イモ、カボチャ、トウモロコシ、栗などです。一方、カウントしないものは糖質が少ない食品で、肉類、魚介類、卵、チーズ、大豆製品、あぶら類などです。飲みものについては、目安ですがジュース類は100 mlで1カーボ、牛乳200 mlで1カーボ、果物ではバナナ170 g(可食部100 g)で炭水化物22.5 gなので2.5カーボです。
 調味料は、主菜1カーボ、副菜0.5カーボ程度が大雑把な見積もりで、少なければカウントしなくてかまいません。カウントするものは、砂糖、みそ、はちみつ、みりん、ケチャップ、ドレッシングなどです。しないものは、塩、しょうゆ、酢、油、マヨネーズ、人工甘味料、香辛料などです。
 先生は、アバウトでもいいので根拠を持ってインスリン量を決めることが大切ですが、あまりちゃんとしなくちゃいけないと思わないこと、食事は楽しくが基本ですと言われました。ご講演の後、質疑応答を行いました。リブレが出てから血糖測定もやりやすくなりましたから、こまめに血糖値を測ることが良いコントロールにつながると強調されました。
 講演は具体的な食物の例で分かりやすく説明され、参加者にとって得るものが多かったと思います。お忙しい中、ご講演いただきました堀尾先生に心より感謝いたします。
 

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