Home 過去の行事 行事一覧 2023年度行事 木村先生の1型糖尿病勉強会

木村那智先生の1型糖尿病勉強会の報告

2023FY-studyMeeting1-panoramicView.jpg 21世紀に入ってすぐ超即効型インスリン(ヒューマログ)が使えるようになり、1型糖尿病の治療にとって画期的なことでした。そして、2020年には超超即効型のルムジェブ、フィアスプによってさらに生活に合わせた血糖コントロールが可能になりました。一方、インスリンポンプが2015年ごろから実用に供するようになり、その進化は加速しています。血糖測定器でもリブレが2016年に使えるようになり、画期的に進化しました。
 HbA1C(ヘモグロビンA1C)の患者の平均的な値は、2010年ごろの値から下がっていなく、2か月分の平均血糖値の指標としてのその値に捉われるよりも、血糖値の質としても変動幅を少なくすることに重点が置かれるようになってきています。つまり、70 %以上の時間に血糖値が70~180mg/dLになるようにコントロールするTIR(タイム イン レンジ)を考えて、これを最終目標に設定するのがいいと言われています。また、低血糖は15分以内に解消することが大切で、250以上の高血糖は1時間以内に解消、180を切ればOKと考えてはということでした。
 基礎インスリンの調節については、主治医と一緒に考えてもらい、ボーラスインスリンが適切かどうかについては、その都度自分で振り返ってコントロールの精度を高めましょうとお話しされました。最新の治療が本人にとって最良というわけではなく、希望に合っているものを選んでほしいとのことでした。
 災害対応について時間を割いてお話がありました。今年、豪雨災害が愛知県も岐阜県もあり、避難所で生活した人がいました。避難所生活の食事に対応するため、カーボカウントの基礎を知っておくことが大切で,病院が被災することも想定してインスリンなどの予備を準備しておいてほしいと言われました。普段使っている薬の名前をフルネームで覚えておく ことも、緊急時の入手のしやすさにつながりますし、長時間停電によって充電式のポンプなどが使えなくなることも想定して、注射器などを予備として持っている必要があると言われました。停電対応として、ソーラー式チャージャーや乾電池から充電できるものを備えておくといいのではとアドバイスがありました。さいごに、ご講演くださいました木村先生に心より御礼申し上げます。

<参加者のコメント>
 今回も新しいデバイスについて詳しい情報をたくさん教えていただきました。使おうかどうか迷っている人には大変参考になったと思います。また、血糖コントロールの際に大事なポイントとその目安を改めて教えていただきました。以前はHbA1cの値を下げるために、高血糖ばかりを意識して低血糖気味になるくらい血糖値を下げるように心がけていたのを思い出しました。昔とはずいぶん変わったと感じました。

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