はじめに、当会特別会員で専門医の杢野武彦先生(杢野医院院長,豊橋市)から講演をいただきました。1型糖尿病を正しく理解するために必要な、血糖値やブドウ糖の役割、血液から細胞への移動など基礎事項のお話しがありました。迅速な対応が必要な低血糖について詳細な説明がありました。学校などで血糖測定や注射を行う場所は、学校教員と本人、保護者で話し合い、本人の希望も尊重してあげてほしいとことでした。宿泊を伴う学校行事での対応や低血糖時の対応などについての質問などに対して、丁寧にお答えされていました。
患者本人の経験談は、現在、勉学に励んでおられる学生の宮地佳音様から、「1型糖尿患児の小学校生活」と題してご講演いただきました。血糖値測定や注射、補食する場所について、学校にお願いしたいことをわかりやすく述べられました。病気を公開することによって、注射や補食しやすくなったことなどのメリットもあったとのことですが、治療セットの入ったカバンをいたずらされたなど残念な経験もされたそうです。学校での具体的な血糖測定の時間や場所もお話しされ、学校教員の皆様にとって得られるものが多かったと思います。
当会の鷲見副会長から、保護者の学校に対する説明やお願いしたことの具体例、外見ではわからない内部障害を持つ患者の周囲に対する気持ちや、思春期の気持ちなどの話がありました。また就職後も病気を公開すると安心感が増した事例の話もありました。
さいごに、ご出席くださいました学校など教育機関や保健関係者の皆様に心より御礼申し上げるとともに、今後とも引き続き温かいご支援、ご協力をお願いいたします。